認知症とは、様々な病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に変化し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障を来した状態をいいます。
超高齢社会の日本において、認知症は社会問題となっています。
65歳以上の高齢者では認知症の人の割合は約12%、認知症の前段階と考えられている軽度認知障害(MCI)の人の割合は約16%とされ、両方を合わせると、3人に1人が認知機能にかかわる症状があることになります。
高齢者でなくても認知症を発症する場合があり、若年性認知症と呼ばれます。

認知症の初期症状とは
認知症の始まりを疑う具体的な症状としては以下のようなものが挙げられます。
- 物のしまった場所を忘れてしまう
- 物をよく無くす
- 約束事をわすれてしまう
- 日付や曜日を把握できない
- 料理が下手になった
- 慣れているはずの道に迷うようになった
- 金銭の管理がうまくいかなくなった
また、進行すると物忘れでだけではなく怒りっぽくなったり、攻撃的になるなどの精神状態の変化(BPSDと呼ばれます)が見られるようになります。
BPSDが強くなると、本人のみならず介護者の負担も非常に大きくなり、生活環境の調整や投薬による対応が非常に重要です。
認知症は脳神経内科が専門的に診療する疾患であり、当院では脳神経内科専門医が問診と物忘れ検査を行い、必要に応じ頭部MRIなどの精密検査を依頼し的確な診断を下していきます。
認知症の種類
認知症の種類は様々ありますが、代表的なものは以下のグラフにある4種類です。

アルツハイマー型認知症
認知症の中で最も多く(67.6%)、一般的に認知症と呼ばれるのはこの疾患です。
アミロイドβ(ベータ)という物質が脳内に蓄積することで発症するといわれます。
- 短期記憶障害が主…昔のことよりも最近のことや今さっきのことを忘れることが多い
- 進行すると精神面や行動面での障害が強くなってくる(BPSD)
保険適応となっている飲み薬があり、症状をやわらげ進行を遅らせる目的で活用します。
新たな治療として、脳内に蓄積したアミロイドβを除去する点滴治療が行われています。
レケンビ(レカネマブ)やケサンラ(ドナネマブ)といった薬剤がありますが、適応があり希望される場合は近隣の連携病院にご紹介いたしますので、興味のある方はご相談ください。
脳血管性認知症
二番目に多い認知症です。
急に起こる脳卒中(脳梗塞や脳出血)に伴って生じることが多いですが、動脈硬化が進んだ方や糖尿病などの生活習慣病、腎不全をお持ちの方の場合、慢性的に脳の血流が低下してしまうことで生じることもあります。
- 麻痺やしびれ、動きにくさをともなうことが多い
- 徐々にというよりはガクッと物忘れが進行することが多い(階段状進行)
- 気力の低下や活気の乏しさを伴うことが多い
- 障害される機能と正常な機能の差が大きい(まだら認知症)
- 生活習慣病などの要因を改善し、症状進行を予防することが非常に重要
レヴィ小体型認知症
三番目に多い認知症です。
レヴィ小体(しょうたい)という物質が脳に蓄積することで発症します。この物質はパーキンソン病の原因にもなりますが、二つの疾患は根本的には同じ疾患であり、認知機能が主なものをレヴィ小体型認知症、運動症状が主なものをパーキンソン病と区別しています。
- ありありとした幻視(人が見える、動物が見える等)が多い
- 手の震えや動作の緩慢さ、小刻みな歩き方といったパーキンソン症状を伴うことが多い
- 物忘れに対する薬剤や必要に応じ動作を改善する薬剤を使用し、リハビリなどで運動機能を維持向上していくことが非常に重要
前頭側頭型認知症
タウ蛋白という物質が脳に蓄積することで生じる疾患です。比較的若70歳以下で発症することがほとんどです。感情や理性的な行動をつかさどる前頭葉や側頭葉の萎縮が見られます。
- 怒りっぽくなる、あるいはうつのようになるなどの性格、感情の変化
- 礼儀やマナーの欠如、反社会的な行動(窃盗など)
- 記憶は比較的保たれていることがある